12章さまざまなデータアーキテクチャ

ストレージエンジンと各データベースについて一通りのフィールドワークを終えたところで、少し視野を広げてみましょう。次は、複数のデータベースを組み合わせたアーキテクチャにデータベースをどのように配置するかについて見ていきます。1つのデータベースのみを使用しているサービスは滅多にありません。現実ではデータを保存するのも複数のやり方で、しかも、データの読み込みも書き込みも複数のクライアントから実行されるのが常です。本章では、こうした現実世界に則ったアーキテクチャのサンプルをいくつか紹介します。フィールドワークで見かけた野生のデータベース達をどのように活用してデータドリブンなアーキテクチャを構築し、そこで発生する諸々の問題に対してどのように解決していくのか、踏み込んでいきます。

ここでは、現実世界のデータベースの活用方法をすべて包括しているわけではありません。ただし、ここでの紹介例をもとに、望むべきアーキテクチャとそのエコシステムの全体像を思い浮かべることができるようになるはずです。本章では、アーキテクチャの各コンポーネントをどうすれば効果的にデータベースと協調させられるか、および、コンポーネントがデータベースに、よい点悪い点含めてどのように影響を与えるかについて、説明していきます。

12.1 アーキテクチャのコンポーネント

これから紹介する諸々のコンポーネントを理解して使いこなすのは、DBREの日々の業務の1つです。サービスのエコシステムにおいてデータベースだけを見ていれば、ほかのコンポーネントは無視してよい、という時代はすでに終わりました。コンポーネント一つひとつがデータベースの可用性、データ統合性、そして一貫性それぞれに確かな影響をおよぼす現在では、サービスの設計および運用においてコンポーネントを無視してよい道理はありません。 ...

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