6章ネットワーク設定のテンプレート

ネットワークエンジニアの業務の多くは、CLIを使って行われています。設定変更の種類ごとにそれぞれの構文で決められたキーワードやフレーズが繰り返し何度も使われます。このような繰り返しは非効率なだけでなく、ミスも生みがちです。例えばCisco IOSでBGPの隣接関係を設定するのは簡単かもしれませんが、正しいBGPコミュニティを追加するといった細かい設定は忘れられてしまうこともあるでしょう。しかもネットワーク運用の世界では、ある目的を達成するための手段が複数あるということも(組織にもよりますが)よくあります。

ネットワーク自動化によるメリットの1つとして、一貫性が挙げられます。実際に運用されている本番系ネットワークに対して、予測可能かつ繰り返し可能な方法で設定変更を行うことができます。これを実現する最適な手段は、自動化対象のネットワーク作業のすべてについてテンプレートを作成することです。

ネットワーク設定のテンプレートを作成することによって、各組織ごとに設定を標準化することができます。さらには、ネットワークの管理者や消費者(ヘルプデスク、NOC、ITエンジニアなど)が必要に応じてテンプレートに値を埋めるだけで、コマンドを実行することができます。迅速にコマンドを実行することができ、設定変更のために必要な情報も最小限で済みます。組織の運用ポリシーに従ったコマンドをあらかじめ用意しておけるため、一貫性も担保されます。

この章は、テンプレートツールの全般についての解説から始まります。そしてテンプレートツールの実装をいくつか紹介し、これらを使ってネットワーク設定のテンプレートを作成します。

6.1 テンプレート言語の登場

実は、テンプレートを使った技術は遠い昔から使われています。「テンプレート言語」で検索すると、さまざまなものが見つかります。1つのプログラミング言語に対して複数のテンプレート言語の選択肢が用意されているということもよくあります。 ...

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