24章キャリアパスを開く

アーキテクトになるには時間と努力が必要だが、本書を通して説明してきた多くの事柄からもわかる通り、アーキテクトになった後のキャリアパスを歩むのも同様に簡単ではない。具体的なキャリアパスを示すことはできないものの、私たちがこれまで見てきたうまくいく実践方法をいくつか紹介していこう。

アーキテクトはキャリアを通して学び続けなければならない。技術の世界は目まぐるしく変化していく。Nealの元同僚に、有名なClipper†1の専門家がいた。彼は、(今では役に立たない)膨大なClipperの知識を他のものに置き換えることができないと嘆いていた。また、彼は次のようにも考えていた。「これまでの歴史上、ソフトウェア開発者の他に、一生のうちにこれほど多くの詳細な知識を学んで捨てた集団が果たしていたのだろうか?」(これはまだ解決していない問題だ。)

[†1] 訳注:Clipperがどのようなツールかについては、この後の「24.2 パーソナルレーダーの開発」で紹介がある。

アーキテクトは、技術とビジネス両方において、関連するリソースに目を配り、自分の備蓄に加えておく必要がある。残念ながら、そうしたリソースはあっという間に賞味期限が切れてしまうため、本書にはリストアップしない。同僚や専門家に、最新情報を得るためにどのようなリソースを使っているかを聞くのも、特定の関心分野で活発に活動している最新のニュースフィード、Webサイト、グループを探す良い方法だ。アーキテクトは、これらのリソースを利用して幅を広げるための時間を一日の中に組み込む必要がある。

24.1 20分ルール

図2-6で示したように、アーキテクトには、技術的な深さよりも技術的な幅が重要だ。幅の広さを維持するには時間と労力が必要なため、アーキテクトは一日の中にそのための時間を組み込む必要がある。けれど、さまざまなWebサイトの記事を読んだり、プレゼンテーションを見たり、ポッドキャストを聞いたりする時間を持てている人は、実際にはそんなに多くない。開発者やアーキテクトの多くは、仕事をし、家族と時間を過ごし、子供たちの相手をし、趣味に時間を使い、キャリアアップを図りながら、最新のトレンドをうまく追いかけていくのに苦労しているからだ。 ...

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