8章Capital Oneにおけるカオスエンジニアリングの導入と進化

Raji Chockaiyan

カオスエンジニアリングは、障害を受容したうえで、それらの障害からシステムの弱点について学ぶ視点を提供します。クラウドネイティブの環境では、このようなソフトウェア開発の方法は無視できません。クラウドネイティブなシステムでは、障害はいつでも発生するものとして受け入れ、あらゆる類の障害に耐えうる堅牢なシステムのエンジニアリングと構築が必要になります。また他の制約の少ない業界と比べ、金融サービス領域のソフトウェアは、さらに考慮する必要のある複雑性のレイヤーをいくつか持っています。障害発生中に、ひとり親家庭の親が初めて家を購入するローンを申し込みに来るかもしれませんし、他の顧客は資金をモバイル機器に移行しようとしているかもしれませんし、とある学生は信用履歴の開始点となる初めてのクレジットカードを申し込もうとしているかもしれません。障害の大きさにより、ちょっとしたイライラからブランドへの愛着を損なうレベルまで幅広い結果がもたらされ、金融機関としての評判が下がった結果、事業に影響が及ぶ可能性もあります。

加えて、銀行の事業のやり方には関係する管理機関があります。必要な監査結果は、定期的に金融の監督機関へ提出しなければなりません。米国においては、OCC(Office of the Comptroller of the Currency、通貨監督庁)、CFPB(Consumer Financial Protection Bureau、消費者金融保護局)、FinCEN(Financial Crimes Enforcement Network、金融犯罪取締ネットワーク)、連邦取引委員会(Federal ...

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