9章友人を作り、人に影響を与えるには

思いやりに過剰というものはない。

――フランシス・ベーコン

あなたはコーヒーマシンのところで、カップにゆっくりとコーヒーが注がれていくのを待っています。

「何もかも順調?」

マークが声をかけてきました。マークはエンジニアリングマネージャーの仲間で、アプリケーションのダッシュボードを担当するチームをマネジメントしています。

「おかげさまで。それでもこのコーヒーはもちろん必要ですけど」

「もっと詳しく聞かせて!」と、マークは言います。

キッチンの向こうからもマークを呼ぶ声が聞こえます。

「ああ、マーク。昨日は話してくれてありがとう。すごく助かったわ」

アビゲイルです。ヨーロッパのセールスチームをマネジメントしています。見かけたことはありますが、彼女はシニアなので、いつも萎縮してしまいます。

「いえ、問題ないですよ。それぞれ現場でどういう風にしてるかがわかってよかったです。あなたが言ったことをチームにも伝えました」

「すごいわ、じゃあまたね!」とアビゲイルは言って、急いで去っていきます。

マークがエンジニアリングとセールスの壁を超えて、どうやって友人を作れたのかが気になります。まさにそれを尋ねようとしたところで、後ろからまた別の声が飛び込んできます。

「マーク、調子はどう?」 バックエンドエンジニアのカーラです。「昨日はバグ修正を手伝ってくれてありがとう。いつも馬鹿みたいなエラーだと思わない?」

「ああ、気にしないで。僕は座ってただけで、君が自分で直したんだよ。僕のバグもいつか見てよ……」

「じゃあまたあとで!」カーラはそう言って会議室のほうへ去っていきます。

マークのコーヒーができあがり、一緒にデスクのほうへ歩き始めます。彼がどうやってアビゲイルと知り合ったのかを尋ねようとしたのを思い出しますが、再び別の声が割り込んできます。 ...

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