詳解 WordPress

6章スケーラビリティとパフォーマンス

この章では、WordPressを運用する際の課題であるスケーラビリティとパフォーマンスについて説明します。

WordPressに限らず、動的なWebシステムでは、運用の継続によってシステムの処理能力が徐々に低下していきます。WordPressの場合、具体的には、アクセス数の増大、日々のコンテンツの追加によるデータの増大、プラグインやテーマへの機能の追加などによってシステムへの負荷が増加していきます。

このような場合に、またこのような場合に備えて、WordPressのスケーラビリティを確保し、システムの処理能力を増強させるとともに、システム自体のパフォーマンスを向上させ、Webサイト表示のみならず、管理画面操作においても快適なユーザー体験を確保する必要があります。

6.1　WordPressのスケーラビリティ

WordPressのスケーラビリティは、WordPressの処理能力を現在または将来予測されるシステム負荷に適応させる拡張性のことです。WordPressのスケーラビリティは、WordPress単体の問題というよりも、WordPressを動作させるサーバの性能と構成に依存します。

スケーラビリティへのアプローチには、2つのアプローチがあります。1つは、システム単体の処理能力を向上させるスケールアップのアプローチです。もう1つは、1つのシステムを複数のシステムに分散させて処理能力を向上させるスケールアウトのアプローチです。

6.1.1　スケールアップ

スケールアップはシステム単体の処理能力を向上させるアプローチです。このアプローチでは、サーバ単体の性能向上が主たる内容になります。具体的には、サーバーのCPU、メモリ、ストレージ、ネットワークの処理速度と容量を向上させることによって処理能力を向上させます。どの項目をどれだけ性能向上させれば良いかは環境によりますので、一概にこれというものはありません。 ...