9章ドキュメントは無限に時間を浪費する(そう、ロードマップもドキュメント)
プロダクトマネージャーとして行ういちばんインパクトのあることの多くは、目に見えません。私たちがチームにいちばん貢献できるのは、コミュニケーションの問題の解決、大まかなゴールに向けた会話の推進、戦術的なトレードオフに関する経営陣への説明などです。でも、これらのいずれも、本書の冒頭で検討したプロダクトマネージャーは「実際のところ何をするのか?」という不安をかきたてる質問に対して、すばやく簡単かつ具体的に答えてくれるものではありません。
まさにこういった理由で、私のプロダクトマネジメントのキャリアにおいて、網羅的で(そうあってほしいですが)印象的なプロダクトの仕様、ロードマップ、本当にたくさんのパワーポイントのスライドを作るのに多くの時間を費やしてきました。自分が作ったイケてるドキュメントを指差して「見てよ、これを自分が作ったんだ!」と言えるくらい手が込んでいました。でも、ほとんどのイケてるドキュメントは、実際にチームがゴールを達成するのには役立ちませんでした。
だからといって、ドキュメントが本質的に悪いものだとは言いません。正反対です。良いドキュメントを書くことは、プロダクトマネージャーの重要な仕事の一部です。日々の課題は、そもそも何がドキュメントを「良い」ものにするのかを正確に理解し、「良い」と「印象的」は常に同じとは限らないことを認めることです。本章では、どうすれば使う時間を減らしつつ、ドキュメントをもっと役立つものにできるかを見ていきます。まずは、ドキュメントのラスボスであるロードマップから始めましょう。
9.1 「プロダクトマネージャーがロードマップの持ち主だ!」
先日、大手教育企業でプロダクトマネージャーとして働き始めたばかりの友人とお茶をしました。その数週間前、彼は新しくプロダクトマネージャーになった人向けのトレーニングに参加しました。トレーニングは、新しい役割で期待されていることを明確に伝えるのを目的としていました。参加者が背負うことになる大まかな責任についての説明で、トレーナーは「プロダクトマネージャーがロードマップの持ち主だ」と述べました。このような厄介な質問を進んでするところがプロダクトマネージャーとしてのスキルを示しているのですが、友人は「ロードマップを持っていないプロダクトマネージャーはどうでしょうか?」と聞きました。トレーナーはこの質問に本当に困った様子で、こう答えました。「いえ、プロダクトマネージャーがロードマップの ...
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