10章ビジョン、ミッション、達成目標、戦略を始めとしたイケてる言葉たち
アソシエイトプロダクトマネージャーにせよチーフプロダクトオフィサーにせよ、ほぼすべてのプロダクト関連の求人情報には、本章のタイトルにある言葉が使われています。ですが、そういった求人情報に、その言葉の意味が十分に明記されていることはほとんどありません。
ここで良い知らせがあります。用語の意味や用法をズバッと提言するものは、よくまとまった雑誌記事、流れるように美しい図表、強烈な言葉で主張するMediumの記事など、枚挙に暇がありません。
悪い知らせもあります。どれも一見信頼できる筋の情報に見えますが、すべてが違う意見を言っているのです。戦略と達成目標はまったく別の概念であると主張するものもあれば、「戦略」のひとことでどちらもまとめているものもあります。説得力のあるミッションこそプロダクトチームにとって圧倒的に重要だと力説するものもあれば、ミッションステートメントはふわふわして意味がないと軽んじるものもあります。プロダクトマネージャーはどうすればよいのでしょうか?
プロダクト関連のキャリアの初期のころ、このように断定的かつ相反する意見をいろいろ聞くと不安になったものでした。経営陣にプロダクト戦略を聞かれるたびに、私はいつも恐怖で固まっていました。そもそも良いプロダクト戦略がどんなものか自分はわかっているのか? あきれるほど的外れなものを出してしまったらどうしよう? 完全な詐欺師のように思われる恐怖から、自分はなぜ実行可能な戦略を提出する立場に置かれていないのか、正当で保身にも聞こえる理由のリストを作ってスラスラと言えるようにしていました。「会社のゴールがまるで明確じゃないんですよ!」とか「経営陣がポイッと渡してくる気まぐれな締め切りをもって、どう戦略を練り上げればいいんですか?」とかです。「ああ、はい、そうですか、まあいいでしょう」とだけ伝えてそっと立ち去り、あとは全員が忘れてくれるのを願うこともありました。 ...
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