12章優先順位づけ:すべてのよりどころ

ここまで触れてきたように、重要な意思決定を下すことを避け、守りに入る方法はいくらでもあります。重厚長大なパワーポイント資料を作ったり、「ミッション」と「ビジョン」の違いについての激論を交わしたり、「もっとデータを!」と言いながらダッシュボードに没頭する手もあります。

しかし遅かれ早かれ、チームと協力して答えるべき重要な質問があります。何を作りますか? そのうちどこまで作りますか? どうなったら成功だと思いますか? 作るべきでないのは何ですか? もっとはっきり言えば、切り捨てるべきところはどこですか?

このような質問は、広義の「優先順位づけ」をしているときに、よく頭に浮かびます。これはチームと膝を交えて、これから次の区切りまでに何をするかを考えるときです。現行のバックログからユーザーストーリーを持ってくる場合もあれば、チームと一緒に新しいアイデアを見つけて詳細を調べることもあるでしょう。しかし何をするにせよ、どこかで重要な意思決定をしなければいけません。あなたの望む信頼度と確度をもって意思決定を下せるほど、十分な情報が得られたと感じられることは絶対にありません。

この優先順位づけの過程で、ゴール、戦略、指標、実験結果、単にこれまで話してきたことすべてが1か所に集められます。あなたにとっては残念なことですが、それぞれが思い描くものはまったく一貫性がなく、ややこしくて矛盾しているかもしれません。ここでもまたプロダクトマネージャーは、優先順位づけが「正しく」行われていることを保証してくれるようなフレームワークに頼ってしまいがちです。ところが優先順位づけのフレームワークはどれも曖昧さを含んでいて、あなたがチームの目指す先とそこへの行き方をわかっていない限り、完全に失敗に終わります。インパクトエフォートマトリクスを用いるのであれば、ゴールが不明確なのにどうやって正確にインパクトを定義できるのでしょうか? ...

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