13章おうちでやってみよう:リモートワークの試練と困難
もう数十年前のことに思える2019年のなかごろ、リモートワークに移行したプロダクトマネージャー数人と会話をしました。1人は「素晴らしいよ」と言い、「通勤で人生を無駄にしなくて済む。実際、仕事も上手になった気がする」と続けました。私はちょっとひねくれて、「ああ、そうだね、いいね。でも人と顔を合わせないで過ごすなんて信じられない。仕事のための移動時間は嫌いじゃないんだよね。リモートで、いつもみたいにうまく仕事できるかわからないし」と返しました。
おっと。
ここ数年で、リモートワークや分散ワークについてのガイドが数多く出版されました。そこに書かれた有用なフィクションは、分散チームやハイブリッドチームとうまく働くための助けになるかもしれません。でも、プロダクトマネジメントのための唯一の万能な手順がないように、リモートプロダクトマネジメントにも唯一の万能な手順はありません。1つ確かなのは、リモートワーク志向もしくはリモートワーク回避といったトレンドの変化は、もともと複雑な方程式に新たに変数を加えるということです。
本章では、プロダクトマネジメントをリモートで行う場合にありがちな課題について見ていきます。そして、それらの課題に取り組むために必要な、膨大な努力と考慮事項について考えます。ここでのリモートとは、集中オフィススペース以外の場所で働く個人のことを指します。一般的に使われる、集中オフィススペースを持たないチームの働き方のことではありません。本章で扱われるアイデアは、完全な分散チームや、オンサイトとリモートワークでバランスを取ろうとするチームにも有効なはずです。
13.1 遠くから信頼を築く
かつて、物理的な共有オフィスなしに強いチームを作るのはほぼ不可能だと固く信じていた時期もありました。ランチタイムやコーヒータイムの気楽なおしゃべりなしに、どうやって仕事のやりとりを超えた関係性を作れるというのでしょうか? ...
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