15章良いときと悪いとき

モバイルアプリの代理店のBuildFireの調査(https://oreil.ly/YPTde)によると、2022年初頭の時点で、AppleのApp Storeには196万のアプリがあり、Google Play ストアには287万のアプリがあったそうです。

また同社によると、スマートフォンのユーザーが1日に使うモバイルアプリは平均で10個、1か月の平均は30個だそうです。

これは多くのプロダクトマネージャーをがっかりさせることでしょう。

私がこの統計を引用したのは諦めのためではなく、Apple、Netflix、Facebook、Googleといった企業のように大成功するプロダクトを作れることはめったにないという期待値を設定するためです。優れたプロダクトマネージャーは、いつも失敗するプロダクトに取り組んでいます。「ベストプラクティス」、完璧な優先順位づけのフレームワーク、アジャイルの魔法の言葉のどれもプロダクトの成功を保証してくれません。

成功して地位を築いたプロダクトに取り組んでいるプロダクトマネージャーも、イライラするような問題に直面します。老舗企業では、リスクを避けるようになり、官僚主義や政治がはびこり、ときには明確なユーザー価値がある小さな変更を行うことすら難しいこともあります。数字上は正しい方向に向かっていても、そういうときほど、急激に変化するユーザーニーズを先取りすることがものすごく困難です。

プロダクトマネジメントは簡単な仕事ではありませんが、プロダクトマネジメントのプラクティスを使えば、みんなの仕事が簡単になります。プログラマーはコミュニケーションがうまくなり、マーケティング担当は技術的な仕事にワクワクするようになり、幹部は上位の戦略決定が戦術にもたらす影響を理解できるようになります。優れたプロダクトマネジメントは、良いときでも悪いときでも、じわじわ広がる対立構造やズレを学習、共有、コラボレーションの機会へと変えてくれるのです。 ...

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