8章ゲームはイテレーションで向上する
8.1 アイデアの選定
危険を伴わないアイデアは、そもそもアイデアと呼ぶに値しない。
—— エルバート・ハバード
ブレインストーミングに熱中し終えた後、目前には膨大なアイデアリストが現れます。多くのゲームデザイナーは、ここでつまずきます。お気に入りのアイデアが多すぎて、どれを選んでよいかわからないか、どれもが月並みで際立ったものがなくて、どれを選んでよいかわからないのです。彼らは優柔不断の霧に包まれて逡巡し、あと少し待てば「的確なアイデア」が突然現れるかも、などと期待します。
でも、魔法のようなことが起こるのは、アイデアを選定してそれを実現しようと決めたときです。ジョン・スタインベックが『真珠』で言っているように、「計画は現実のものとなる(“A plan is a real thing.”)」のです。心の中で「よし、これにしよう」と決めると、それまで見逃していた欠陥が急に、利点とともにはっきりと見えるようになります。これはコインを投げて物事を決めるのに似ています。コインが落ちるときに突然、あなたが何を本当に望んでいたのかがはっきりわかるのです。人間には、何をするか決める前と後では、違う考え方をする性質があります。ですから、この人間の奇癖を利用してしまいましょう。サッと決断し、そのゲームデザインだけに思考を集中させ、すぐにその選択の結果について考えます。
とはいえ、決断と同時に突然悟り、選択が間違っていたと気づいた場合はどうすればよいのでしょう? ...
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