12章一部の要素はゲームシステムである

 

図12-1  

ここまで、ゲームデザイナーやプレイヤー、ゲームプレイについて、たくさんお話ししてきました。ここからは、ゲームを実際に作り上げるための部品についてお話しします。ゲームデザイナーは、ゲームの表面を通り越して骨組みをすばやく理解できるように、透視能力を身につける必要があります。この骨組みこそ、ゲームシステムです。

でも、この謎に包まれたゲームシステムは、実際のところ何なのでしょう?

ゲームシステムは、ゲームの真の姿の核となるものです。ビジュアルや技術、ストーリーをゲームから全部はぎ取った後に残る、インタラクションや関係性です。

ゲームデザインにおける多くの事柄と同様に、一般的に広く認知されているようなゲームシステムの分類法はありません。ゲームシステムは、たとえ単純なゲームのものでもきわめて複雑で、紐解いていくのがとても難しいというのが理由の1つです。この複雑なゲームシステムを単純化し、数学的に完璧に理解しようとする試みは今までもありましたが、結局、明らかに中途半端な記述の体系化で終わっています。経済学の「ゲーム理論」がよい例です。「ゲーム理論」という名前から、ゲームデザイナーにとても役立つように思えますが、実際には、単純なシステムしか処理できないため、ゲームデザインの現場で役立つことはめったにありません。

ゲームシステムの分類法が不完全なのには、別の理由もあります。ある面でゲームシステムは、非常に客観的な、明文化されたルールの集まりです。しかし別の面では、もっと謎めいた何かがあります。扱いやすくするために、脳がゲームをメンタルモデルに落とし込む方法については前述のとおりです。このメンタルモデルの構造を表現するとき、ゲームシステムの一部分が必須になります。メンタルモデルの大部分は潜在意識という闇の中に存在するため、ゲームシステムの働きを分析して明確な定義の分類法を考え出すのは難しいです。 ...

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