22章世界のルック&フィールはビジュアルで決まる
22.1 「手術を拒んだモネ」
先生、あなたはパリの街灯に
後光はないと
わたしが見たのは高齢の病が見せた錯覚で
不幸なことだとおっしゃいました
でもね、わたしは一生をかけて
ガス灯が天使に見える場所へとたどり着いたのです
輪郭が薄らぎぼやけて最後には消えたことを
あなたは気の毒に思うのでしょうが
わたしが水平線と呼んでいたものは存在せず
空と水は本当は
同じものだったのです
54年前にわたしは見ました
太陽から降り注ぐ光の柱で
ルーエン大聖堂が建てられるのを
それなのに今、若き日の過ちを
わたしに繰り返させようとおっしゃるのですか
固定された天と地と
3次元空間という幻想を抱き
橋を覆う藤づるは
橋とは異なる物体だと思い込めと。
先生、どう言えばわかってもらえるでしょう
夜な夜な議事堂は姿を消し
まるで夢のように
テムズ川を流れていくことを。
お互いが誰なのかもわからないような
世界には戻りたくありません。
島々は大陸の迷子ではないのですから。
世界は流れゆき、
光は触れたものに変わり
水となり、水に浮かぶ百合となり
水の上でも水の中でも
薄紫色にも藤色にも黄色にも白にも
紺碧の光にも変わっていきます。
小さなこぶしで日の光を
すばやく投げ合ったなら
その光をつかみとるには、
ヘアブラシに残った長く流れるような髪が必要でしょう。
光の速さを描きたい!
偏った形も、垂直な線も
燃えて空気に混ざるでしょう
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