23章他のプレイヤーと遊ぶゲームもある

 

図23-1  

23.1 人は孤独じゃない

1つの小さな例外を除けば、残りの全宇宙はすべて他者によって成り立っていることを覚えておくべきです。

——John Andrew Holmes

間もなく死を迎えようとしているときに「ああ、もっと1人でパソコンをいじる時間が欲しかった」と後悔する人はいません。

——Danielle Bunten Berry

人間は社会的な動物です。一般的には、人は可能な限り孤独を避けようとします。たいていは、1人で食事をとるのも、1人で眠るのも、1人で働くのも、1人で遊ぶことも、好まれません。態度の悪い囚人は、独居房に入れられます。他の凶悪犯と同じ牢屋に入れられるのも嫌なものですが、孤独にされるほうがもっとつらいからです。数百年のゲームデザイン史を振り返ってみると、この点が反映されていることがわかります。大多数のゲームは、他プレイヤーと協力したり対戦したりするようにゲームデザインされています。コンピュータの登場以前は、『ソリティア』のように1人で遊ぶゲームは珍しい存在でした。

では、デジタルゲームでは何が起きているのでしょう? 数えきれないほど多くのゲームが、シングルプレイヤーの体験となっています。なぜでしょうか? 技術の進化によって、人々から社交性という本能を奪ってしまったのでしょうか? そんなことは、もちろんありません。実際、年を追うごとに、マルチプレイヤー要素やコミュニティ要素を備えるデジタルゲームが顕著に増えてきています。Facebookゲームや非同期型ソーシャルモバイルゲームの爆発的普及は、人間の本能の現れです。シングルプレイ用ゲームの人気は、一時的な異常現象にすぎません。その一因には、シングルプレイ向けのインタラクティブ世界に対する物珍しさや、ゲームのソフトウェアとハードウェアが当時抱えていた技術的な制約などが考えられます。今ではオンライン化してネットワーク接続機能を備えるゲームプラットフォームが増え、マルチプレイ要素を持たないゲームは再び少数派になってきています。技術の進歩が進み、革新的技術の目新しさが薄れていくのにつれて、人類が数千年にわたって身につけてきた社会的本能へ合わせたゲームが増えてきています。 ...

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