16章進化的アーキテクト

ここまで説明してきたように、マイクロサービスには多数の選択肢があり、それに応じて多数の決定をする必要があります。例えば、いくつの異なる技術を使うべきですか、チームごとに異なるプログラミングイディオムを使用させるべきですか、マイクロサービスを分割、マージすべきですか。このような決定を、どのように行えばよいですか。変化のペースがより速く、マイクロサービスアーキテクチャによってもたらされるより流動的な環境では、アーキテクトの役割も変わらざるを得ません。本章では、アーキテクトの役割について特定の見解を示し、象牙の塔に最後の攻撃を仕掛けたいと考えています。

16.1 「名前が何だと言うの」†1

[†1] 監訳者注:「名前が何だと言うの」(What's in a Name?)は、シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」で、家族間の争いに巻き込まれたジュリエットが言った有名な台詞です。「重要なのは中身である」ことを意味しています。

その言葉を連発しているな。その意味をわかっているのか。

−イニゴ・モントヤ、映画『プリンセス・ブライド・ストーリー』より

アーキテクトには重要な仕事があります。アーキテクトは、システムに統合された技術的構想があるようにする責任があります。この構想は、顧客が必要とするソフトウェアの提供に役立ちます。ある場所では、1チームだけと作業する場合があります。その場合は、多くの場合、アーキテクト、テックリードの役割が同じです。別の場所では、工程表全体の構想を定義し、世界中の複数チームや組織全体と連携することもあります。アーキテクトがどのようなレベルで活動していても、その役割を明確に特定することは難しいものです。企業組織の開発者にとって、多くの場合、アーキテクトは明らかにキャリアアップであるにもかかわらず、他のどの役職よりも多くの批判を浴びる立場でもあります。アーキテクトは、他のどの役割よりも、構築されるシステムの品質、同僚の労働条件、組織の変化対応力に直接的な影響を与えるにもかかわらず、その役割はほとんど理解されていないようです。それはなぜですか。 ...

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