3章オペレーティングシステム

システムパフォーマンス分析では、オペレーティングシステム(OS)とそのカーネルについての理解は必要不可欠だ。システムコールがどのように実行されるか、カーネルがどのようにCPUにスレッドをスケジューリングするか、限られたメモリがパフォーマンスにどのような影響を及ぼすか、ファイルシステムはI/Oをどのように処理するかなどのシステムのふるまいについて、あなたはひんぱんに仮説を立て、それを検証することになる。これらの作業では、OSとカーネルの知識を使わなければならない。

この章での学習目標は次の通り。

  • コンテキストスイッチ、スワッピング、ページング、プリエンプションなどのカーネルの用語を学ぶ。
  • カーネルとシステムコールの役割を理解する。
  • 割り込み、スケジューラ、仮想メモリ、I/Oスタックなどのカーネルの内部動作についての生きた知識を身につける。
  • Unixカーネルのパフォーマンス関連機能がLinuxにどのように追加されているかを理解する。
  • 拡張BPFの基礎を理解する。

この章では、OSとそのカーネルについての概要を説明する。その内容は、本書のこれからの部分を理解するための前提となる。OSの授業を受け損ねた読者は、この章は特訓コースとして扱うことができる。章末では試験を行うので、知識の抜け落ちに注意しよう(冗談だ。クイズがあるだけに過ぎない)。カーネルの内部の詳細については、章末の参考文献リストを参照していただきたい。

この章は、3つの部分から構成されている。

  • 用語: 重要な用語を示す。
  • 基礎知識: OSとカーネルの主要概念をまとめる。
  • カーネル: Linuxを始めとする各種OSのカーネルの具体的な実装を説明する。

CPUのスケジューリング、メモリ、ディスク、ファイルシステム、ネットワーク、さまざまなパフォーマンスツールなど、パフォーマンスに関連する分野については、あとの章で詳しく説明する。 ...

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