8章ファイルシステム
アプリケーションにとっては、ディスク、ストレージデバイスのパフォーマンスよりもファイルシステムのパフォーマンスの方が重要な意味がある。なぜなら、アプリケーションがやり取りし、処理終了を待つのはファイルシステムだからだ。ファイルシステムは、アプリケーションがディスク(またはリモートストレージデバイス)レベルのレイテンシに支配されないように、キャッシング、バッファリング、非同期I/Oを駆使することができる。
しかし、システムパフォーマンスの分析、モニタリングツールは、伝統的にディスクパフォーマンスばかりを見て、ファイルシステムパフォーマンスは盲点になっていた。この章では、ファイルシステムに光を当て、動作の仕組みやレイテンシ、その他の詳細な指標の計測方法を示す。これらの知識があれば、ファイルシステムやその下のディスクデバイスは低パフォーマンスの原因からは外せることが多く、ほかの分野に調査の対象を移せるようになる。
この章での学習目標は次の通り。
- ファイルシステムのモデルと概念を理解する。
- ファイルシステムワークロードがパフォーマンスに影響を与える仕組みを理解する。
- ファイルシステムキャッシュを頭に入れる。
- ファイルシステムの内部構造とパフォーマンス向上のための機能を頭に入れる。
- ファイルシステム分析のさまざまなメソドロジの筋道をたどる。
- ファイルシステムレイテンシを計測し、最頻値と外れ値を明らかにする。
- トレーサーを使ってファイルシステムの使用状況を調査する。
- マイクロベンチマークを使ってファイルシステムのパフォーマンスをテストする。
- ファイルシステムのさまざまなパラメータに刻み込む。
この章は次の6つの部分に分かれる。前半の3つはファイルシステム分析の基礎を説明する。後半の3つはLinuxベースシステムへの実践的な応用を示す。 ...
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