10章ネットワーク

システムがますます分散化し、特にクラウドコンピューティング環境が普及すると、ネットワークはパフォーマンスにおいて今までよりも大きな役割を果たすようになる。ネットワークのパフォーマンスでよく行われる作業は、レイテンシを下げ、スループットを上げることと、レイテンシ外れ値の削減である。レイテンシ外れ値は、パケットのディレイ、ドロップに起因する場合がある。

ネットワーク分析は、ハードウェアとソフトウェアにまたがっている。ハードウェアは物理ネットワークで、ネットワークインターフェイスカード(Network Interface Card:NIC)、スイッチ、ルーター、ゲートウェイ(これらは一般にソフトウェアも持っている)から構成される。システムソフトウェアはカーネルのネットワークスタックで、ネットワークデバイスドライバ、パケットキュー、パケットスケジューラ、ネットワークプロトコル実装から構成される。低水準プロトコル(IP、TCP、UDPなど)は一般にカーネルソフトウェアだが、高水準プロトコル(HTTPなど)は一般にライブラリやアプリケーションになっている。

ネットワークは輻輳を起こす可能性があり、本質的に複雑であるためパフォーマンスが低いと非難されることが多い(未知のものに対する非難)。この章では、実際に何が起きているかを明らかにするための方法を示す。ネットワーク以外の要因が関わり、分析の対象が動く場合もある。

この章での学習目標は次の通り。

  • ネットワークのモデルと概念を理解する。
  • ネットワークレイテンシのさまざまな計測方法を理解する。
  • 広く使われているネットワークプロトコルの生きた知識を仕入れる。
  • ネットワークハードウェアの内部構造を頭に入れる。
  • ソケットやデバイスからカーネルまでの経路を頭に入れる。 ...

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