19章イーサネットスイッチを用いたネットワークの設計

本章では、スイッチを用いてイーサネットシステムを構築するときの基本的な方法をいくつか示す。ネットワークの設計というのは、それだけでも大きなトピックであり、スイッチを用いてネットワークを拡張したり改善したりする方法は数多くある。本章では、イーサネットスイッチを用いたネットワーク設計の概略を示すことを目的に、いくつかの基本的な設計に焦点を当てていく。

19.1 ネットワークを設計するにあたってのスイッチのメリット

ネットワークを構築するときにスイッチを用いるメリットはいくつかある。まず、前章で説明したように、スイッチにはどれでも基本的なトラフィックフィルタリング機能が備わっているので、ネットワークのバンド幅を向上させることができる。昨今のスイッチにはまた、内部のスイッチング用電子部品によって複数のポートの間で同時に異なるトラフィックを通すこともできるという特記すべき利点もある。流れるトラフィックのことは「カンバセーション」(conversation。対話)ともいうが、ポート間のカンバセーションを同時に複数サポートできるというのは、ネットワークを設計するにあたって強力で優位な点である。

19.1.1 ネットワークの性能向上

重要なのは、スイッチを用いれば、トラフィックの流れを制御することでネットワークシステムを効率的に動作させることができるという点である。継続的に増え続けるデバイス数とトラフィック負荷という課題に直面しているイーサネットの設計者にとって、所定の宛先にパケットを配送するにあたって必要としているポートに対してのみ、トラフィックを転送するインテリジェントなスイッチの機能は特に有効な手段である。

内部に用意されたアドレスデータベースを用いたトラフィック制御を活用すれば、トラフィックを分離できる。スイッチのどこにクライアントやサーバが接続されているかを知ることができれば、クライアントとそれらが利用するファイルサーバの間のトラフィックを特定のスイッチのポートに集中でき、これによりネットワークトラフィックを最小限に抑えることができる。このような構成にすれば、トラフィックはネットワークシステムの別のところを通過しなくても済むようになる。 ...

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