20章イーサネットの性能評価

「性能」(performance)はカバーする範囲の広い、立場によって意味が変わってくる用語である。ネットワーク設計者にとってのイーサネットシステムの性能は、個々のイーサネットチャネルの性能、イーサネットスイッチの性能、そしてネットワークシステム全体の性能や機能と幅広い。

これがネットワークユーザだと、たいていはネットワークを介してアプリケーションに送信したコマンドが返ってくるまでの時間が性能である。その場合、ユーザコンピュータを接続するイーサネットシステムの性能は、快適なユーザエクスペリエンスを構成する絡み合った各種要因のうちのほんのひとつにしかすぎない。

本書はイーサネットローカルエリアネットワークについての教科書なので、焦点をあてるのはイーサネットチャネルとネットワークシステムの性能である。ネットワークの性能には、ローカルなサーバ、ファイルシステム、クラウドサーバ、インターネット、ローカルイーサネットシステムなどユーザにアプリケーションサービスを提供する諸要素が複雑に関連しあいながら影響を与えている。これについては、本章でじっくり見ていくことにしよう。

本章の前半部分では、イーサネットチャネルそれ自体の性能を説明する。ここでは、イーサネットチャネルの性能を評価するときに用いられる理論、実験、その分析手法をいくつか挙げて検討する。続いては、実際のイーサネットで妥当と考えられるトラフィックのレベルがどの程度なものなのかを議論する。さらに、トラフィックをどのようにして測定するのか、またそれらをどう処理するのかも説明する。

本章の後半部分では、トラフィックのタイプによってそれぞれ異なってくる応答時間に対する要件を示す。コンピュータ間の通信を介して提供されるアプリケーションサービスにはいくつもの構成要素があるが、ユーザの観点から見た応答時間に関わる性能は、そうした要素それぞれの応答時間を複雑に足し合わせた総和になっている。末尾では、最大の性能を引き出せるネットワークを設計するためのガイドラインを示す。 ...

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