28章倫理的なプログラマ

私はその人に対して、正当な理由をもってこう答えるであろう。

「友よ、君のいうところは正しくない、

君がもし、少しでも何かの役に立つほどの人は生命の危険をこそ考慮に入れるべきであって、

何を為すにあたっても、その行為がはたして正であるか邪であるか、

また善人の所為であるか悪人の所為であるか、をのみ顧慮すべきではないというのならば。」

――ソクラテス

『ソクラテスの弁明』†1

[†1] 訳注:久保勉訳『ソクラテスの弁明』(岩波文庫)より。

私は、コーダーの質は技術的な技量ではなく、態度に依存することをよく説明しています。この話題に関して最近行った会話がきっかけで、私は「倫理的なプログラマ(ethical programmer)」について考えてみました。

それは何を意味するのでしょうか。プログラマの人生において、倫理は評価されるのでしょうか。

コーダーの人間としての存在から、プログラミングの行為を分離することは不可能です。したがって、当然ながら倫理への関心は、プログラマとしての私達が何を行い、職業として他の人達とどのように関わっていくかを決めます。

ですから、「倫理的なプログラマ」であることに価値があるのは当然です。少なくとも、倫理的な人と同じ価値があります。不倫理的なプログラマになるのを切望している人を心配するのは当たり前です。

多くの専門家達は、特定の倫理規定を持っています。医者は、患者のために働き、悪事を働かないという「ヒポクラテスの誓い(Hippocratic oath)」を持っています。弁護士と技師は、公認の資格を与える独自の専門機関を持っており、メンバーが行動基準を守ることを要求しています。これらの行動規範は、専門家の名誉を保つだけではなく、顧客を保護し、専門家を守るために存在しています。 ...

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