6章コミットメントを行う対話
これからは本書で初めて、物事をうまく進める方法についてお話しします。本章で紹介するスキルを使うことで、効果的で信頼できるコミットメントをチームから引き出すことができます。問題を抱えたチームを診断するとき、通常は物事を進める方法が最初の懸念事項となります。「プロセスが肥大化し、スピードが落ちている」、「ユーザーは何カ月も改善を見ていない」、「大したことができない」と。それでは、なぜ本書ではここまでこの問題に取り組んでこなかったのでしょうか?
詳しくはこれから説明しますが、後回しにしてきた理由はまず「信頼」を築き、「不安」を減らし、「WHY」に合意していなければ、どんなに物事がうまく進んだとしてもたどり着く目的地は間違ったものになってしまうからです。これはまさに1章で説明したソフトウェア工場の負けパターンです。「綿密な計画と厳格な責任分担を実行することで、正確にコントロールできている」と錯覚してしまいますが、実際のデリバリーはチームの潜在能力をはるかに下回ります。経営者はとても正確な計画を立てたはずなのにデリバリーできないことに困惑し、チームリーダーはチームに説明できない無理な納期を守ろうと奔走し、メンバーは遅くまで残業(下手をすれば休日出勤)をすることに恐怖を感じます。もしかしたら、職を変えようと思うかもしれません。
でも安心してください。本章までの教訓を活用すれば、この章のテクニックを使いこなす準備は整っているのです。その結果、熱狂的で自律的なチームに歓迎されるような効果的で信頼性の高いコミットメントを行えるようになります。こうした手法を身につければ、次のことができるようになります。
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