7章説明責任を果たす対話
フィーチャー工場から抜け出せていないうちは、デリバリーとその課題に関する情報を完全に開示することなどは想像もつかないでしょう。何をするにも厳格なルールに縛られているのだから、そんなことは余計なのです。また自主性もないため、目標や戦術を変えたいと思っても、どんな選択肢があるかを考えても意味がありません。どのみち辿り着けないからです。しかし、「信頼」を築き、「不安」を取り除き、「WHY」を定義し、「コミットメント」を尊重するにつれて、私たちはこれまでよりも自律的で束縛されないようになってきました。このレベルの自己開示と他者理解は、最後の対話である「説明責任」によって可能になります。
経営者は説明責任が果たされることで、機能の優先順位付けがおかしかったりクラウドサーバーに過剰に出費したりといった間違いをより早く効率的に知って修正できることに気づけるでしょう。チームリーダーは説明責任を果たす対話を利用してスプリントとチームの目標を明確にし、その目標を達成するための選択肢を明らかにして機能構築とアーキテクチャ変更に関するチームの意図を伝えられます。そして、メンバーは「古いブラウザのサポートに行き詰まっている」とか、「どこかのわからず屋がテストをスキップしろと言った」などと言わなくなります。自分たちの仕事にどのような制約があって、どのような裁量が与えられているかがわかり、目標を達成するために創造性を発揮できる範囲を知ることができます。
本章の考え方を吸収すれば、次のことができるようになります。
- Y理論を用いて健全な説明責任を育む組織文化を創造する
- チームの行動を効率的かつ正確に説明できるように、ブリーフィングとバックブリーフィングを行う
- 説明責任を果たす対話を用いて ...
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