6章プラクティス2小さなバッチで作る
スクラムのプラクティスの1つにタイムボックスがある。タイムボックスに収めるために、開発者は大きな機能を小さなタスクに分解する必要が出てくる。これは簡単そうに聞こえるが、実際にやるのは難しい。1つの機能やタスクではなく、複数の機能を同時に作って最後のリリースを目指すことに慣れているためだ。そのため、圧倒されたり、遅延したり、急いで終わらせようとしたりすることになる。
映画制作者は2時間の1回限りの撮影で映画全体を作ることなどできない。一度に必ずしも1シーンしか撮影しないわけではないが、撮影自体は一度に1回だ。1回の撮影が終わったら、そこで初めて次に進む。監督は常に映画全体に目を光らせているが、その日全部もしくはその日の一部は、ワンショットを撮影するのに全力を注いでいる。
映画制作者は複数のカメラを持ち込んだりさまざまな技術を使ったりして、シーン全体を1回で撮影しようとすることがある。ソフトウェアプロジェクトでも同じように、あるタスクがほかのものよりも大きくて複雑になる可能性がある。そのため、ソフトウェア開発に関わるすべての人は、その粒度を理解できるようにするところから始めなければいけない。そうすれば、どのタスクが「撮影」で、どのタスクが「シーン」なのかを区別できるようになる。
ソフトウェア開発では、作業単位の実際のサイズを決めるフォースがあり、単に「小ささ」だけが基準になるわけではない。作業単位ごとに計測可能な結果が見えなければいけない。作業単位は、観察可能な行動として見えるものであるべきだ。
観察可能な行動にする上で、ときには、作業をもう少し細かく分割しなければいけないこともある。私たちはものごとを大きくするフォースと、小さくするフォースの両方を持っている。その2つのあいだで適切なバランスをどうやって見つけるかは私たち次第だ。つまり、単に「小さい」のではなく、自分たちにとって ...
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