7.1 マーケティング会議
ここは株式会社Xの会議室。この日は同社が運営するレストランのクチコミサイト「フーディー・トーク」の収益改善案について議論がなされていました。このサイトには検索機能があり、地域やジャンルに応じてレストランが検索できます。検索結果には広告も表示しており、そのクリック率を向上することが収益改善の大きな鍵になります。この検索結果ページには以前からさまざまな施策を打ってきましたが、最近は大きな成果が上がりにくくなっていました。
「本当に思いつく限りのことを全部試したのか?」マーケティング部長のフランクが言うと、会議室に重い空気が漂いました。フランクはノートパソコンを広げ、サイトの検索結果ページを眺めながら言いました。「たとえば…… このリンクの色はどうやって決めたんだ?」
フランクが指差した先にあるのは、レストランを検索したときに表示される各レストランページへのテキストリンクでした。かつてデザイナーのジョージが、ロゴを含めたウェブサイト全体のデザインシステムに沿って決定したものです。フランクの提案はこのテキストリンクの色をさまざまに変えてみて、ユーザの反応を最大化するものを採用しようというものでした。ユーザの反応に基づいた意思決定をするのか、デザインのロジックに基づいた意思決定をするのか、この提言を皮切りにさまざまな意見が交わされました。しかし最終的には、フランクの鶴の一声で、テキストリンクの色にメスを入れることになりました。
ミーティングが終わると、この新しい実験の概要がマーケターであるチャーリーに伝えられました。チャーリーはすでにたくさんの実験をこなし、ウェブ最適化に対して自信がついていましたので、あまり深く考えずに意気揚々とイエスと答えて引き受けてしまいました。しかし、よくよく考えてみると、すこし厄介なことがわかってきました。 ...
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