21章機械学習を従来の手法に組み込むコツ
「ケーキは食べたらなくなってしまう(You can't have your cake and eat it too.)」という英語のことわざがあります。しかし私は「ケーキをとっておく」と「ケーキを食べる」のどちらを選ぶかと訊かれれば、決まって両立の道を探ります。そして機械学習の分野で、その両立の道を見つけました!
前の章では機械学習についてずいぶん否定的なことを書いたので、読者の中には驚きを、いや怒りさえ覚えた人がいるかもしれません。しかしあんな風に書いたのは機械学習に対する敬意や賞賛の念を欠いているからではなく、ただもう皆さんに機械学習の限界をしっかり見据えてほしかったからです。アルゴリズミックバイアスのリスク管理に十分熟達していないデータサイエンティストに機械学習ツールを与えるのは、新米ドライバーにポルシェをあてがうのに等しい危険な行為です。しかしすでにこの本で自信過剰バイアスについて学んだ皆さんなら、「著者はどんな読者の耳にも届くよう声を限りに警告を発せざるを得ないのだ」と理解してくださることでしょう。
さて、機械学習が私たちにすごいパワーを与えてくれるというのは事実です。そして最高のアルゴリズムは、しばしば世界一流のモデル——手堅く用心深いデータサイエンティストが機械学習の手法の数々を日々の作業の中で単なるツールとして活用し、磨き上げた職人ワザを駆使して入念に作り上げたモデル——の中に息づいているものです。この章では、そんな「職人ワザ型モデル」のデザインに機械学習の手法を組み込むテクニックを4つ紹介します。いずれも、データサイエンティストがアルゴリズミックバイアスを予防するために行うさまざまな監視を可能にしてくれるものです。
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