2章bashの基礎

bashはプログラムを実行させるための単なるコマンドラインインタフェースという枠を越え、プログラム言語としての域に達している。デフォルトの操作は他のプログラムの起動であり、前述したとおり、コマンドラインにいくつかの単語が並んでいる場合、bashは最初の単語を起動するプログラム名、残りの単語をプログラムに引き渡す引数として解釈する。

プログラム言語として見た場合、bashは入出力やifwhileforcaseなどを用いた処理制御機能をサポートしている。基本的なデータ形式は(ファイル名やパス名などの)文字列であるが、数値もサポートする。bashはスクリプトやプログラムの起動に主眼を置いており、数値演算機能は主たる機能ではない。そのため浮動小数点演算も直接のサポートはないが、別のコマンドと組み合わせて利用することはできる。引き続き、bashを特にスクリプトに主眼を置いた強力なプログラム言語ならしめているいくつかの機能について簡単に見ていこう。

2.1 出力

多くのプログラム言語と同じく、bashは画面に情報を出力する機能を有している。echoコマンドを用いることで出力を行うことができる。

$ echo "Hello World" 
Hello World

組み込みコマンドのprintfを用いることで、出力を整形することもできる。

$ printf "Hello World\n\n" 
Hello World

出力をファイル、標準エラー出力、パイプ経由で別のコマンドにリダイレクトする方法については、前の章ですでに説明した。以降のページでは、これらのコマンドおよびオプションのより詳細な活用について説明する。

2.2 変数

bash変数の命名規則は、先頭がアルファベットもしくは ...

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