C#クックブック ―プロフェッショナル開発者のためのモダンレシピ

まえがき

本書の執筆理由

　私たちはキャリアの途中で様々なツールを収集します。それは概念であったり、テクニックであったり、パターンであったり、再利用可能なコードであったりと様々ですが、これらはいずれも何かの仕事をなすためのものです。解決すべき問題や作成すべきアプリケーションも多いので、ツールも多ければ多いほどいいでしょう。『C#クックブック』には様々なレシピを揃えているため、きっと読者の皆さんのツールとして役に立つはずです。

　あらゆることが時とともに変化しますが、プログラミング言語も例外ではありません。本書の執筆時点において、C#プログラミング言語は誕生後20年を超え、ソフトウェア開発の手法も様々に変化しています。本書に含められなかったレシピも多数ありますが、本書ではC#の変遷が確認できるようなレシピであったり、より生産性を向上できるようなC#のモダンな機能を使用するようなレシピを優先しています。

　本書のレシピはいずれも筆者が使用しているものばかりです。まず課題があり、コードがあり、解決策について解説し、レシピの重要性や詳細説明を続けてあります。本書全体において、ソフトウェア開発にはトレードオフがつきものなので、「本書の通りにすること」というような提案は行わないようにしています。実際、レシピ内ではトレードオフとなるような複数の条件についても言及している箇所があります。したがって読者がそれぞれの状況においてレシピを発展させていけるようにもなっています。

本書が想定する読者

　本書では基本的なC#の文法を習得済みであることを想定しています。別の言い方をすると、本書には様々なレベルの開発者に向けたレシピがあります。初級者からベテランまで、誰にとっても有用なレシピが見つかるはずです。アーキテクト向けとしては、現代的なC#のテクニックを採用することで性能改善が見込めるようなレシピが役に立つことでしょう。 ...