第7章複数の管理者の管理

「複数の管理者を率いる管理者」が会社から期待される職務内容は、「複数のチームを率いる管理者」の場合と大して変わりません。どちらも複数のチームに対する責任を負って、各チームの「健康度」に目を光らせ、各チームの目標設定を支援します。違いは「責任の重さ」です。「複数の管理者を率いる管理者」の場合、各チームの専門分野が拡がる上に、プロジェクトの件数も部下の人数も自分独りでは到底管理不可能なレベルにまで増えるのです。もはや密接に関連する2、3のチームを束ねるのではなく「より広範囲に及ぶ取り組みの数々」を指揮する場合もあれば、自分が所属する部の複数の課を――これまで管理した経験もなく、また、その分野の専門知識もさして持ち合わせているわけではない、そんな課を複数――率いる場合もあります。最後のケースの事例としては、たとえば「ソフトウェア工学が専門の管理者が、自分の所属する部の運用チームの管理も任された」といったものがあげられます。

複数のチームを率いるだけでも疲労困憊が不可避な大役ですが、「複数の管理者を率いる管理者」となると、大抵は驚くほど複雑な職責の数々を新たに背負い込むハメになります。それが実際にどんな感じなのか、私自身がかつてリーダーシップのコーチに送ったメールを参考までに紹介しましょう。

何人もの管理者を束ねるなんて、それこそ「かかりっ切り」でなければできそうにありません。どんな連絡方法を確立すれば、直属の管理者たちときちんとコミュニケーションが取れ、しかも私自身の処理能力を上げられるのでしょうか。私の目の届かない所で作業を進めるチームの、したがってそうそう当てにはできない「証人」にしか頼れない状況で、問題解決を支援するなんて、どうやれというのでしょうか。これまでと比べたら2ランクも離れた人的管理に「かかりっ切り」で、もうクタクタです。 ...

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