第8章経営幹部
経営幹部の日々の職務内容は会社によって大きく異なります。ですからたとえば私が「経営幹部の職務内容は、社員70人のIT系スタートアップの時も、フォーチュン500に名を連ね何千人もの社員を擁する大企業の時も変わらなかった」などと言い出したら、何をバカな寝言をと一笑に付されることでしょう。さまざまな規模の企業の幹部について一般的な視点から論じた本なら、すでに山ほど出回っています。そうした「汎用の」指南書の中でもとくにお薦めしたい良書を、章末にリストアップしましたので参考にしてください。幹部必携の名著ばかりです。
ただ、我々は「汎用の」企業幹部ではなく、技術系の幹部です。しかもこの本は、エンジニアとして何年かコードを書く経験を積んだのちに経営の道へと舵を切り、以後、順調にキャリアアップを果たし、晴れて幹部になった人たちについて書いたものです。エンジニアである我々はテクノロジーの専門家ならではの責任を――絶えず変化を続けるテクノロジーの世界でキャリアを積んできた者ならではの責任を――担っているのです。
そのような技術部門の経営幹部である我々は、組織に特殊なスキルをもたらす存在です。中でも、変化を必要なものとして受け入れ、それを実現しようとする意欲、推進力をもたらします。また、現行の運営・運用方法に疑問を提起し、非効率または無効と判断すれば他の方法を試みる能力も備えています。テクノロジーが急速に進化することを理解しており、自分の会社もそれに遅れずに進化を遂げることを望んでいるのです。このように我々は独特の役割を担っているわけですが、その上に一般的な経営幹部としての役割も首尾よく果たさなければなりません。変化の必要性を認識し組織に紹介、導入する媒介役を果たすだけでなく、望ましい変化を実現できる組織を生み出してもいかなければならないのです。 ...
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