3章イーサリアムクライアント

 イーサリアムクライアントとは、イーサリアムの仕様を実装し、他のイーサリアムクライアントとピアツーピアネットワークを介して通信するソフトウェアアプリケーションです。異なるイーサリアムクライアントは、リファレンス仕様および標準化された通信プロトコルに準拠していれば相互運用(interoperate)できます。これらの異なるクライアントは、異なるチームによって異なるプログラミング言語で実装されていますが、すべて同じプロトコルを「話し」、同じルールに従います。したがって、それらのクライアントは、同じイーサリアムネットワークの運用と通信に用いることができます。

 イーサリアムはオープンソースのプロジェクトです。すべての主要なクライアントのソースコードは、オープンソースライセンス(たとえば、LGPL v3.0)のもとで入手可能であり、自由にダウンロードして任意の目的で使用することができます。しかしオープンソース(open source)とは、ただ単に自由に使用できるだけではありません。イーサリアムが開かれたボランティアコミュニティによって開発されており、誰もが変更を加えられるということも同時に意味しています。より多くの人の手で、より信頼できるコードとなっているのです。

 イーサリアムは、「イエローペーパー」と呼ばれる正式な仕様によって定義されています(1章の「1.6.1 参考文献」を参照)。

 イーサリアムの仕様の定義の仕方は、たとえばビットコインとは対照的です。ビットコインは形式的な方法で定義されていません。ビットコインの「仕様」は、Bitcoin Coreの実装であり、これを参照することになります。一方で、イーサリアムの仕様は、英語と数式(形式的な)の仕様を組み合わせた論文に記載されています。この形式仕様記述は、さまざまなEIP(Ethereum ...

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