付録Aイーサリアムフォークの歴史

 ほとんどのハードフォークはアップグレードロードマップの一部として事前に計画されたものであり、たいていはコミュニティが合意した(つまり、社会的に合意された)アップデートです。しかし、中にはコンセンサスを伴わないハードフォークもあり、そのようなハードフォークはブロックチェーンの分裂を引き起こします。イーサリアムとイーサリアムクラシックの分裂を引き起こした事件はまさしくこのケースで、何が起きたのか以下で説明します。

A.1 イーサリアムクラシック(ETC)

 イーサリアムクラシック(Ethereum Classic:ETC)は、イーサリアムコミュニティのメンバーが緊急で実施したハードフォーク(コードネーム「DAO」)を実装したあとに生まれました。イーサリアムは、2016年7月20日、ブロック高192万において、「The DAO」として知られているスマートコントラクトから取り出された約360万のイーサを取り戻すために、ハードフォークを通して、変則的な形でステートの変更を行いました。取り出されたイーサは盗まれたのであり、泥棒がそれらのイーサを手中に収めることになれば、イーサリアムのエコシステムだけでなくプラットフォーム自体の開発に対して致命的な影響を与えるであろうことは、ほぼすべての人の一致した見解でした。

 あたかも「The DAO」が存在していなかったかのように、イーサをそれぞれの所有者に返却することは、技術的には容易なものでしたが、むしろ政治的な議論を引き起こすものでした。イーサリアムのエコシステムには、この変更に同意しない人々も大勢いました。不変性はイーサリアムブロックチェーンの基本原則であり、例外はないという信条を持っている人々です。彼らはイーサリアムクラシックと名付けられた元のチェーンを延ばしていくことを選びました。分裂そのものはイデオロギーに基づいたものでしたが、2つのチェーンはそれ以来、別個の存在となったのです。 ...

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