3章TensorFlowを使ったニューラルネットワークの実装
3.1 TensorFlowとは
本書全体を通じて、ディープラーニングのモデルを抽象的に解説し続けるということも可能でした。しかし筆者は、深層モデルのしくみを学ぶだけでは不十分だと考えます。本書を読み終えた読者が、このようなモデルを1から構築し、各自の問題領域に適用できるようなスキルを身につけていることを願っています。ディープラーニングのモデルについて理論的理解を獲得した読者のために、この章ではこれらのアルゴリズムのいくつかをソフトウェアとして実装します。
本書では主に、TensorFlow†1というツールを利用します。TensorFlowはオープンソースのライブラリで、2015年にGoogleからリリースされました。開発者が容易にディープラーニングのモデルを設計して、構築、訓練できることが目標とされています。当初のTensorFlowは社内向けツールであり、Googleの開発者がモデルを構築するのに利用していました。社内での検討やテストを経た機能が、オープンソース版にも追加されてゆくと見込まれます。開発者にとって、TensorFlowは選択肢の1つでしかありません。しかし、思慮深い設計や使いやすさなどの観点から、筆者はTensorFlowを選びました。後ほど、TensorFlowと他のライブラリを簡単に比較することにします。
大まかに言うなら、TensorFlowとは任意の計算をデータフローのグラフとして表現するためのPythonライブラリです。このグラフでは、それぞれのノード(頂点)は算術演算を表し、エッジ(辺)はノード間を流れるデータを表します。TensorFlowでのデータは ...
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