生成 Deep Learning ―絵を描き、物語や音楽を作り、ゲームをプレイする

4章敵対的生成ネットワーク

2016年12月5日（月）2時30分、Google BrainのIan Goodfellowは、バルセロナで開催されたNIPS（Neural Information Processing Systems）の参加者に対して「敵対的生成ネットワーク」（https://bit.ly/2WkkB7r）というタイトルのチュートリアルを行いました†1。そのチュートリアルで示されたアイデアは、今日、生成モデルの重要なターニングポイントの1つと見なされており、その核となる彼のアイデアの上に幅広いバリエーションが生み出され、この分野をさらなる高みに押し上げたのです。

[†1] Ian Goodfellow, "NIPS 2016 Tutorial: Generative Adversarial Networks," 21 December 2016, https://arxiv.org/abs/1701.00160v4

この章では、最初に敵対的生成ネットワーク（generative adversarial network：GAN）の理論的な基盤を説明します。その後、Kerasを用いてGANを構築し始める方法を学びます。

それでは、Geneに出会う荒野への旅に出ましょう……。

4.1　ガニマル

ある日の午後、近くのジャングルを歩いていると、Geneは心配そうな顔で白黒写真に目を通す女性を見かけました。彼は、そばに行き、何か手伝えることはないかと尋ねます。

彼女の名前はDi、熱心な探検家で、このジャングルに生息すると言われる神秘的な生き物「ガニマル（ganimal）」を探していると教えてくれました。この生き物は夜行性で、彼女は夜の写真しか持っていませんでした。他のガニマル愛好家がジャングルに落としていったのを拾ったものです。これらの写真の何枚かを ...