4章ステークホルダーに共感する
解決する問題を理解するというのは、口で言うほどやさしいことではない。私たちは人々を助けるソフトウェアを作っている。そのため、問題をしっかりと理解するには、自分たちの作るソフトウェアによって暮らしに影響を受ける人々のことを理解する必要がある。そうした人々に共感するほど、私たちは解決の必要がある本当の問題をよく理解できるはずだ。
ソフトウェアに興味関心を抱く人たちのことを、私たちはステークホルダー(利害関係者)と呼んでいる。ステークホルダーを明らかにし、彼らのニーズを理解することは、私たちアーキテクトの仕事だ。ステークホルダーがシステムに抱く期待は、設計の仕方に直接的または間接的に影響を与える。
共感は設計を駆動するエンジンだ。自分たちが作るソフトウェアの影響を受ける人々に共感することで、私たちはより良いソフトウェアを開発できる。この章では、解決しようとしている問題について誰と話をすべきかを決める方法を学ぶ。そして、アーキテクチャを設計し始めるために、彼らから何を学ぶ必要があるのかを決める方法についても学んでいく。
4.1 適切な人たちと話をする
ステークホルダーは、たいていの場合、ソフトウェアにビジネス的な関心を寄せているものだ。彼らはソフトウェアに対して費用を支払うか、あるいはソフトウェアから直接利益を得る可能性がある。ユーザーは重要なステークホルダーだが、システムを構築し保守する人々もまた重要なステークホルダーだ。他の人々は、ソフトウェアが彼らにどう影響するかについて気付いていないかもしれない。しかし、時として彼らの関心も同様に考慮する必要がある。 ...
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