9章アーキテクチャデザインスタジオを開く

19世紀のフランスでは、建築学の教授たちは評価の際に学生の課題を木製の荷車で集めていた。もちろん、荷車が現れたときに課題を提出する準備ができている学生はいなかったが、だからといって教授が荷車を止めることはなかった。その結果、生徒たちはその荷車を追いながら、シャレット(荷馬車)の中で熱心に作業をするようになった。教授が荷車を動かして学生の課題を集めていく中、生徒たちはシャレットの中で、バルサ材の木片やねじったワイヤーを取り付け、橋や建物を仕上げていった。

21世紀のシャレットとは、時間をかけても必ずしもより良いデザインになるとは限らないという考えに触発されたワークショップのスタイルだ。19世紀のフランスの建築学の教授はこれを分かっていたのだ。そして、それは今日でも通用する素晴らしい教訓だ。ユーザーエクスペリエンス(UX)コミュニティは、この教えをデザインスタジオとして普及させた。デザインスタジオはグループコラボレーションを促進し、チームが短期間で幅広いアイデアを見るのを助けるために厳しい時間的制約を持っている。

この章では、アーキテクチャデザインスタジオを計画し、ファシリテートしていく方法を学んでいく。最初はデザインスタジオ方式の概要を紹介し、次にデザインスタジオをファシリテートする方法を学んでいく。良いファシリテーションとは、単に作法が守られることをいうのではない。物事がうまくいくようにするのが、良いファシリテーションだ。最後は、デザインスタジオの大成功を確実なものにするヒントやTipsをもって、本章をしめくくる。 ...

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