10章設計判断を可視化する
アイデアを共有する最良の方法は、それをタンジブルにすることだ。ただ話に聞いただけでは、アーキテクチャを理解できないかもしれない。けれど、それを示してもらえたら、好みの認知スタイルを使って自分のペースでそれを探求できる。開発者なら、このことを本能で分かっているはずだ。抽象的なアイデアについて話す必要があるなら、ホワイトボードを探してスケッチを始めよう。共有しようとしているアイデアを引き出すことができれば、認識があっているかどうかを知ることができる。
アーキテクチャを図で描くことは誰にだってできる。図はきれいである必要はない。しかし、アイデアを効果的に共有する必要はある。「8章 意味のあるモデルで複雑さを扱う」で正確なモデルを作成する方法を学んだあなたなら、アーキテクチャが望ましい品質特性をどの程度促進しているかについては見通せるようになっているはずだ。この章では、開発者間のコミュニケーションを強固なものにするために、アーキテクチャ図を描く方法を学んでいく。
10.1 異なる視点からアーキテクチャを示す
アーキテクチャの興味深い詳細を、たった一つの図で捉えることは不可能だ。すべてを一つの図にまとめるのではなく、アーキテクチャに関する複数のビューを作成しよう。ビュー(View)とは、特定のステークホルダーまたは一連の関連する関心事の観点から語られたアーキテクチャに関するストーリーだ。
Googleマップのような地図アプリケーションを使って長旅を計画する方法について考えてみよう。拡大表示すると街の通りが見える。縮小表示すると都市全体が州間高速道路に沿ってちょうど点になる。オーバーレイを適用すると、リアルタイムの交通量や天気を見ることができる。航空写真や地勢図と地図とを入れ替えることもできる。アプリケーションによっては路上から見たパースペクティブも提供されており、あるタイミングで取られたスナップショットから、目線の高さで世界を見ることもできる。 ...
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