11章eBPFの将来の進化

eBPFはこれが完成形というわけではありません。ほとんどのソフトウェアと同様に、Linuxカーネルの一部として継続的に開発が続いています。Windowsにも追加されようとしています。この章では、この技術の将来の可能性についていくつか議論していきます。

BPFは最初にLinuxカーネルに導入されてから現在に至るまでに、専用のメーリングリストとメンテナを持つ独自のサブシステムに進化しました†1。eBPFの人気が高まり、Linuxカーネルコミュニティを超えて関心が広がるにつれ、利害関係者が増えていきました。これを受けて、彼らの間を取り持つ中立的な団体であるeBPF財団が設立されました。

[†1] LinuxカーネルのBPFサブツリーのメンテナであるMetaのAlexei StarovoitovとAndrii Nakryiko、IsovalentのDaniel Borkmann、ありがとう!

11.1 eBPF財団

2021年にGoogle、Isovalent、Meta(当時はFacebook)、Microsoft、NetflixがLinux財団の支援を受けてeBPF財団を設立しました。この財団は、資金と知的財産を保有できる中立的な団体として機能し、さまざまな営利企業が協力し合えるようになっています。

eBPF技術がLinuxカーネルコミュニティとLinux BPFサブシステムの貢献者によって開発されているという現在の体制を変更するためのものではありません。財団がやることは、LinuxカーネルのBPFメンテナや他の主要なeBPFプロジェクトの代表者を含む、技術的な専門家からなるBPF運営委員会によって決まります。

eBPF財団は技術基盤としてのeBPFと、eBPFの開発を支えるツールのエコシステムに関心を集中させています。このため、eBPFを基盤としており中立性を保ちつつ進めたいプロジェクトであっても、別の財団で管理する方が適していることもあるでしょう。例えばCilium、Pixie、FalcoはどれもeBPFを利用していますが、すべてCNCFの一部です。これらはすべてクラウドネイティブ環境で使用されることを意図しているため、CNCFに所属する方が理にかなっています。 ...

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