1章大局を見る
devopsはものの考え方であり、仕事の進め方である。ストーリーを共有し、共感を育み、効果的かつ永続的に力を出せるようにする。そのためのフレームワークだ。文化を織りなす要素の一部であり、私たちの働き方やなぜその働き方をするのかに影響を与える。devopsのことをChefやDockerなどの特定のツールだと考える人が多いが、ツールだけではdevopsにはならない。そういったツールが「devops」になるのは、ツール自体の基本特性ではなく、ツールの使い方によってである。
文化のなかでは、私たちが力を出すために使うツールだけでなく、私たちの価値観や基準、知識といったものが同じくらい重要だ。人がどのように仕事を進めるか。どのような技術を使うか。技術が仕事のしかたにどのような影響を与えるか。人が技術にどのような影響を与えるか。こういったことを調べれば、組織や業界の状況について明確な意図のもとに判断を下していくのに役立つ。
devopsは、単なるソフトウェア開発手法のひとつではない。確かに、devopsはアジャイルやXPといったソフトウェア開発手法と深く関わっており、これらの影響を受けている。またdevopsの実践にはソフトウェア開発手法やインフラストラクチャーの自動化、継続的デリバリーといったものも含まれている。だが、devopsはこういった部品の寄せ集めではない。これらのコンセプトは相互に関連しており、devopsの実践現場ではよく見られる。しかし、そういったものだけに囚われていると、大局を見失う。devopsに力を与えているのは、文化的、人間的側面なのだ。
1.1 devops文化のスナップショット
devopsの文化が成功を収めるとどのような姿になるのだろうか。手作りのものやビンテージものを扱うオンライン市場をグローバルで展開しているEtsy ...
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