12章ツール: 文化を加速させるもの
ツールは、現在の組織文化と今後の方向性にもとづいて、改革を支え加速していく存在である。現在の位置や方向性がわからないのにスピードを上げても、おそらくマイナス効果を持つ予想外の結果を生み出すだろう。
世界は猛スピードで変化している。他社の成功をそっくり手に入れたいと思って後追いするような条件反射の反応は通用しない。時間をかけて、他のチーム、組織、ライバル、世界全体との関係を含めて、自分たちの現在の位置を理解する必要があるのだ。今取り組まなければいけないこと、後回しにすべきこと、環境から取り除くべきものの枠組みを作るために、それがきっと役に立つはずだ。
本章では、現在のツールエコシステムを分析するだけでなく、ツールと文化が相互にどのような影響を与えあっているかを示す実例を紹介していく。実例を紹介する目的は、固定的なハウツーを示すことではない。組織が環境のなかでツールを評価、選択、利用していく方法にはさまざまなものがあるのを示すためだ。すべてのdevopsニーズを満たす万能のソリューションとして特定のツールを推奨するつもりはない。ツールの選択にあたってどのようなことを考えていくべきかを事例から学んでいただきたい。
12.1 人間にとってのツールの意味
人類には、効果的に仕事を進めるためにツール(道具)を使ってきた長い歴史がある。タイプライターからワープロへの移行によって、変更を加えたり誤りを修正したりするコストが下がった。パンチカードとアセンブリ言語から高級言語への移行によって、コードが理解しやすくなった。
これらのツールは、それ自体を目的として発明されたわけではない。ツールはどれも、その道具を使う人が特定の仕事を簡単にできるようにするために作られている。ツールを選ぶときには、そのことを忘れないようにしよう。ソフトウェアは、ひとりで書いてサポートするものから、複数の人たちや複数のチームで書き、別のチーム、場合によっては数年後のチームで理解し保守しなければいけないものに変化してきた。devopsツールは、その変化にともない、共同作業をしやすくするために作られている。 ...
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