16章devopsの4本柱を使って架け橋をつくる

devopsに力と大きな影響力を与えている重要な要素のひとつは、その柔軟性である。本書全体で説明してきたように、devopsの「唯一無二の正しい方法」は存在しない。特定のソフトウェアやプロセスも必要ではないし、スタートアップに限定した話でもない。

devopsの成功例として繰り返し話題になるストーリー(NetflixとEtsy)はある。だが、devopsの4本柱を使って生産性を向上させるための方法がこれらの事例にすべて含まれているわけでもない。確かに、文化面や技術面のプラクティスで有名になったEtsyのような企業には、共有すべき重要なストーリーがある。だが、本書では、devops界隈で以前から語り継がれてきたもの以外の広い範囲のストーリーを意識して取り上げるようにした。私たちが検討してきたストーリーが多種多様だからといって、devopsが重要でなくなってしまうわけでは決してない。むしろ私たち、そしてこの業界全体の仕事のあり方におけるdevopsの重要性を理解するには、その多様性こそが重要な意味を持つのだ。

devopsについて話そうとしたときに、よく話題になるのがサイロである。開発と運用の両チームがサイロ化して遠い存在になってしまい、効果的なコラボレーションはおろか、コミュニケーションすらほとんど取れていない状態になっているときに、サイロを壊すためにはどうすればよいかという話になるのである。しかし、私たちは、破壊的なメタファーではなく、建設的なメタファーでdevopsを考えたい。

私たちは、異なるチームや組織を、サイロではなく島だと考える。健全で豊かなエコシステムを維持するには、島の集まりがリソースを共有し、知識をやり取りし、住民の移動さえ認めなければいけない。そのため、島と島を結ぶ架け橋を作る必要がある。架け橋が増えれば増えるほど、島のネットワークはしっかりとしたものになるのだ。devopsの4本柱とともに取り上げてきたストーリーは、異なる人やチーム、組織という島のあいだにどうやって架け橋をつくるかを示している。 ...

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