21章セキュリティと信頼性の文化の構築
執筆:Heather Adkins
協力:Peter Valchev、Felix Gröbert、Ana Oprea、
Sergey Simakov、Douglas Colish、Betsy Beyer
新しい同僚が組織に加わると想像してみてください。その同僚は、セキュリティと信頼性の重要性、および他の組織目標の中で、この2つがどのように優先されるかを自覚しているでしょうか。不正なプッシュや悪意のある攻撃者が引き起こすエラーにシステムが耐えられるようにするため、自分がどのような役割を担うのか知っているでしょうか。
本章では、健全なセキュリティと信頼性の文化のさまざまな側面を概説します。また、変更を行うべきときに適切なプラクティスを選択することで、組織文化にどのような影響を及ぼすことができるかについても触れます。最後に、セキュリティと信頼性に対する賛同を確保するために、組織全体のリーダー層やチームに影響を与える方法についての知見を示します。
ここではGoogleや多くの組織で有効性が確認されたプラクティスを共有しますが、まったく同じ組織は2つとないことを肝に銘じてください。つまり、これらの手法は、それぞれの組織の文化に適合させる必要があります。また、こうした戦略のすべてを導入できるとは限らないことにも注意してください。本章は、継続的な検討のためのガイドやリファレンスとなることを意図しています。注目してほしいのは、Googleでも、ここで取り上げる推奨事項を毎日完璧に実践しているわけではなく、むしろ組織全体の文化を構築する一環として、個々のアプローチを改善するように努めていることです。
効果的なセキュリティと信頼性は、こうした基本に立脚する文化を築くことで、組織がその重要性を受け入れるからこそ花開きます。体現したい文化を明示的に設計・実装・維持する組織は、文化の構築をチームの取り組みとすることで成功を収めます。つまり、CEOとその経営チームから、技術リーダーやマネージャー、さらにはシステムを設計・実装・維持する担当者まで、全員が責任を担うのです。 ...
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