7章GraphQLの実戦投入にあたって

ここまでで、スキーマを設計し、GraphQL APIを構築して、Apollo Clientを用いてクライアントを実装してきました。GraphQLに関する開発の全体をひととおり経験し、GraphQL APIがクライアントによってどのように利用されるかについて理解を深めました。そろそろGraphQL APIとクライアントを本番環境で使用する準備を始めるときです。

新しい技術を本番で使用するには、現在のアプリケーションの要件を満たすことが可能かを確認する必要があります。現在のアプリケーションはクライアントとサーバーの間でファイルを送信できるようにする必要がありそうです。また、データの更新をクライアントにリアルタイムでプッシュするためにWebSocketを使用しています。現在のAPIはセキュアであり、不正なクライアントを拒否します。GraphQLを本番で使用するには、これらの要件を満たせるようにする必要があります。

また開発チームについても考える必要があります。もしかするとあなたのチームメンバーはフルスタックかもしれませんが、通常はフロントエンド開発者とバックエンド開発者に分離されている場合がほとんどでしょう。そのようなとき、開発者全員でGraphQLのさまざまな特徴をうまく生かしていくにはどうすればいいのでしょうか。

また、現在のコードベースの純粋な範囲についてはどうでしょうか。現時点で多くの異なるサービスとAPIが本番環境で動作しているでしょうし、おそらくGraphQLを使用してすべてをゼロから再構築するような時間もリソースもないでしょう。

この章では、これらすべての要件や問題に対応します。写真共有APIに2回のイテレーションを追加することから始めます。最初にサブスクリプションとリアルタイムデータ送信を組み込みます。そしてその次にGraphQLを使用してファイルを送信する手段を実装し、ユーザーが写真を投稿できるようにします。写真共有アプリケーションでこれらのイテレーションが完了した後で、不正なクライアントによるクエリからサービスを守るためにGraphQL ...

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