5章頭痛と眼精疲労の対策

物語『不思議の国のアリス』の中の奇妙なイメージは、しばしば薬物による幻覚症状によるものとされますが、おそらくは、作者のLewis Carrollが、ひどい偏頭痛に関係する、異常な視覚体験を描き出そうとしたものでしょう†1。とはいえ、Carrollの独創的な描写は、それらのイメージを描きたいという願望以上のものから来ていたのかもしれません。すなわち、頭痛が彼の創造性の源泉だったかもしれないのです。

ある種の頭痛が、イマジネーションを刺激し、創造的なプロセスを喚起することによって、独創的で革新的な芸術へとつながるということは、多くの人々が主張しています。ドイツのアーヘン工科大学の内科医であるKlaus Podoll博士が、偏頭痛に苦しむ患者たちが生み出したイラストや絵画のコレクションを、自著である『Migraine Art: The Migraine Experience from Within』[PR09]にまとめたのはそのためです。ただしそれは、誰にでも起きることではありません。

プログラミングには、多くの創造性が求められますが、コードを書く能力が頭痛によって向上すると主張するソフトウェア開発者は多くありません。逆に頭痛は、幻覚を見るところまでいっていない場合でさえ、プログラマの生産性を損なう主要因の1つです。

Carrollが体験した幻覚は、眼そのものの機能不全ではなく、認識の変化の結果でしたが、他の多くの種類の頭痛は、直接的に眼の状況に関連します。プログラマにとってもっとも一般的なのは、コンピュータビジョン症候群(CVS)です。CVSは、コンピュータの前で一日およそ3時間以上を過ごす人々の、大まかに言って90%に影響を与えています†2

本章では、CVSや、その他多くの種類の頭痛を引き起こす条件を検証します。また、一般的な眼の健康についても議論します。これは、頭痛や眼精疲労だけではなく、プログラマとしての全体的な健康にも関係することです。多くの日々の習慣や、あるいはコンピュータの設定さえもが、眼にダメージを与えることがあります。それでは詳しく見ていきましょう。 ...

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