8章実践的なエクササイズ

日本のマラソンのエリートランナーである寺田夏生氏は、2011年に東京近郊で行われたレースのゴール間近で、ミスを犯しました。あと300メートルのところで、寺田はスパートをかけ、勝利を確実なものにするかのように思われたものの、次の瞬間に彼はコースを間違えてしまいました。他のランナーたちは彼を追い越していき、彼は必死に戻り、3位でゴールしたのです。

寺田のミスは間の抜けたことのように思えるかもしれませんが、十分な理由があります。研究によれば、強度の高いエクササイズ(HRmaxの70から80%)は、前頭前野への血流を遮断してしまい、認知機能を低くしてしまうのです。レースでラストスパートをかけているマラソンランナーは、HRmaxの90%以上の強度で走っています。

従って、マラソンを走りながらコードを書くのはおそらく良いことではないでしょう。ただし、毎日のエクササイズのルーチンと、自分の仕事をうまく調整しなければ、エクササイズでさえも仕事の妨げになることがあり得ます。とはいえ、これらをうまく調整すれば、コードを書く能力を改善することさえできるかもしれません。これは、エクササイズを行った直後には、血液が急速に頭脳に戻るようになり、それによって複雑な分析や創造性が求められるタスクに完璧に集中できる時間が作れることによります。

本章では、生活にエクササイズを取り入れることによって、健康を促進し、頭も良く働かせられるようになるやり方を学びます。ポモドーロテクニックを使ってワークアウトの仕組みを作るやり方や、ビデオゲームで遊ぶことの健康性について議論します。また、自分の進歩を実感することで、エクササイズから充実感を得る方法も学びましょう。

本章のゴールは、エクササイズを妥当なやり方で生活に取り入れることにより、エクササイズを楽しく、実行可能で、実践的なものにすることです。これはすなわち、プログラマにとってのエクササイズは、健康の目標や運動の習慣のみならず、プログラマとしてのキャリアの目標や仕事のルーチンとも歩調を合わせたものになっていなければならないということです。 ...

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