まえがき

Aut lego vel scribo; doceo scrutorve sophian.Sedulius Scottus

『入門iOS SDK』のまえがきにも書きましたが、筆者が最初のiOSプログラミングの本を出版したのはiOS 4のときでした。それからiOSのアップデートのたびに新版を出してきましたが、どんどんページ数が増えていきました。そして今回の版を出すときには、「気はやさしくて力持ち」の巨人が本をビリッとふたつに引き裂いてしまったようです。結果、今回は次のように2冊構成となりました。

  • 1冊目は『入門iOS SDK』で、以前の本の1章から13章の内容が書かれています。
  • 2冊目はこの『詳解iOS SDK』で、以前の本の14章から付録Nの内容が書かれています。

その巨人はなかなか気が利いた男で、もう潮時であることを察してくれたのです。この前の版はなんと1,150ページにも及ぶ分厚くて扱いにくい本でした。実を言うと筆者はその巨人に、第1版の出版前から——いや、執筆そのものを構想したときから——「ビリッとふたつに引き裂いて」とお願いし続けていたのです。そもそも2010年の初めに筆者がO'Reilly Mediaに提案したのは“Fundamentals of Cocoa Programming”というタイトルの本で、その内容として『入門iOS SDK』とほぼ同じものを考えていました。結局筆者のこの提案は、OS X用のフレームワークである(狭い意味での)Cocoaを中心にしたものではなく、iPhone/iPad用のフレームワークであるCocoa Touchを使ったプログラミングに関する解説を大幅追加するという条件つきで受け入れてもらえました。筆者はそのものすごく分厚くなりそうな本の執筆を開始したのですが、いつまでたっても終わりは見えず、2010年の秋にどうかお願いですから二分冊にしてくださいと声を大にして訴えました。しかし、O'Reilly ...

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