初めてのJavaScript 第3版 ―ES2015以降の最新ウェブ開発

1章JavaScriptの歴史と開発環境

この章ではJavaScriptの簡単な歴史と、現在JavaScriptが置かれている状況を解説します。また、2章からのプログラムの作成と実行に備えて、基本的な開発環境について説明します。

1.1　JavaScriptの簡単な歴史

JavaScriptは1995年にNetscape CommunicationsのBrendan Eichによって開発された言語です。短期間で開発が行われたため、「先見の明がない開発だった」という批判を浴びせる人もいます。しかし、Brendan Eichはコンピュータサイエンスに関するしっかりとした知識をもっており、とても洗練されたアイデアをJavaScriptに注ぎ込みました。多くの点で時代の最先端を行くもので、大多数の開発者がその素晴らしさに気づくには15年もの時間がかかりました。

JavaScriptは当初Mochaと呼ばれましたが、すぐにLiveScriptと改名され、1995年にNetscape Navigatorとともにリリースされた際にJavaScriptという名前に再度改名されました。JavaScriptのJavaの部分は、当時大きな注目を集めていたJava言語†1を意識したものですが、プログラミング言語としてはSelf†2やSchme†3との共通点が多い言語です。Brendan Eichはこの2つの言語を熟知していて、JavaScriptにこの両言語の先進性を取り入れました。

[†1] Brendan Eichは2014年に受けたインタビューで、JavaScriptを嫌っていたSun Microsystemsに対して「茶々を入れたかった」と告白しています。

[†2] 1980年代にXerox PARCで開発されたプロトタイプベースの言語。 ...