11章例外とエラー処理
エラーのないソフトウェアは開発者全員が望むものですが、ある程度の規模のアプリケーションになれば、エラーの存在を仮定しなければなりません。高品質のソフトウェアを作りたかったらエラーが起こることを前提にし、適切なエラー処理をする必要があります。
「例外処理(exception handling)」はエラーが起きたときに適切な処理を行うための機構です。「エラー処理」ではなく「例外処理」と呼ばれるのは、想定しているエラーではなく、想定していない例外的なケースのための処理という意味です。
想定しているエラーと想定していないエラー(例外)の境界は曖昧です。特に訓練を受けていない普通の人に向けて作られたアプリケーションは、特別な訓練を受けている特定のユーザー向けに作られたアプリケーションに比べて、想定していない方法で使われる可能性が高くなります。
たとえばフォームにメールアドレスを入力してもらうことを考えてみましょう。考えられないほど数多くの入力間違いが起こりますが、これは想定される(想定すべき)エラーです。しかしそれ以外にも、ディスク容量の不足や滅多に起こらないはずのネットワークの不具合などが起こり得ます。
11.1 Errorオブジェクト
JavaScriptには組み込みのError
オブジェクトがあり、エラー処理(例外処理を含む)に利用できます。Error
のインスタンスの生成時にエラーメッセージを指定することができます。
const err = new Error('メールアドレスの形式が正しくありません');
Error
のインスタンスを生成するだけでは何も起こりません。メールアドレスを検証する関数があるとします。この関数は形式が正しいアドレスに対してはメールアドレス(文字列)を返します。正しくない形式の場合 ...
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