3章処理を学ぶ
プログラムを構成するものは「データ」と「処理」だと前章で説明し、そこではこれらのうちの「データ」を紹介しました。本章では残る「処理」について紹介します。しかしデータの処理について、前章ですでに数値演算や論理演算、文字列の内挿などについて見てきました。本章で学ぶことはそれらとは何が違うのでしょうか?
前章で学んだデータには基礎となるプリミティブと、それらを組み合わせて構造化するオブジェクトや配列、という2種類がありました。前章で学んだ各種演算子などは処理におけるプリミティブにあたります。複雑な処理を実現するにはそれらを構造化する手段が必要です。そのような手段のことを、処理の順序を制御するための構造という意味で、制御構造と呼びます。本章ではその制御構造について学びます。前章のデータと本章の処理、2つを合わせたものがプログラムなら、皆さんはここでやっとプログラミングを学び始めるのだと言っていいのかもしれません。
これから説明するとおり、JavaScriptで利用できる制御構造にはさまざまなものがあります。そしてそれらの組み合わせ方によって、同じ機能を持つプログラムであっても、実現方法は無数に存在します。冗長で分かりにくい記述もあれば、簡潔で分かりやすいものや、場合によっては美しいと言えるようなプログラムもあるでしょう。
そういった意味ではプログラミングは文章を書くことと似ているかもしれません。とりあえず意味の通じる文章は誰でも書くことができます。逆に名文と呼ばれるような文章は限られた人しか書くことができません。しかし、簡潔で分かりやすい文章は訓練次第で多くの人が身につけられます。プログラミングも同様です。誰もがはっとするような美しいプログラムを書くには経験を積みセンスを磨くしかありませんが、簡潔で分かりやすいプログラムは意識次第で誰にでも書くことができます。常に簡潔さを意識して、実装に迷ったときは常に分かりやすいほうを選ぶようにするとよいでしょう。 ...
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